【ケアマネが教える】親の介護が突然始まったときに最初にやること10選
「先生から突然『退院させます』と言われた」「昨日まで普通に生活していた親が、今日から介護が必要になった」
介護はある日突然、始まります。
わたしはケアマネジャーとして12年間、介護の現場に携わってきました。そして毎年、何十人もの家族が「突然の介護」に直面して、何から手をつければいいかわからないまま時間を無駄にしてしまうのを目にしてきました。
この記事では、「親の介護が突然始まったとき、最初の1〜2週間でやるべきこと」をケアマネの視点で整理します。専門用語は極力使わずに書きますので、介護が初めての方にも読みやすいはずです。
この記事を書いた人
介護福祉士・ケアマネジャー・福祉住環境コーディネーター2級。介護歴12年・転職5回を経て、現在は定期巡回ステーションの計画作成責任者として勤務。これまで多くの在宅介護家族と関わってきた経験をもとに執筆しています。
この記事でわかること
- 突然介護が始まったときに最初にやること10選
- 「介護認定」「ケアマネ」など基本的な仕組み
- 絶対に一人で抱え込んではいけない理由
- 相談できる公的窓口の探し方
まず深呼吸してください。全部一人でやろうとしないで
最初にこれだけ言わせてください。
突然介護が始まると、「自分がなんとかしなければ」という気持ちになります。でも、介護は一人で抱え込めるものではありません。わたしがこれまで見てきた中で、燃え尽きてしまった家族の多くに共通していたのは、「最初に相談しなかった」ことです。
日本には介護をサポートする公的制度が整っています。使わないのはもったいない。まずその仕組みを知るところから始めましょう。
やること① 「地域包括支援センター」に電話する
介護が始まったら、まずここに連絡してください。
地域包括支援センターは、市区町村が設置している高齢者の総合相談窓口です。介護保険の申請・ケアマネの紹介・サービスの情報提供など、すべての入口になります。費用は無料です。
電話番号の調べ方
「(お住まいの市区町村名)+ 地域包括支援センター」でGoogle検索するとすぐに出てきます。
電話で「突然親の介護が必要になったのですが、何から始めればいいですか?」と伝えるだけでOKです。担当者が丁寧に案内してくれます。
やること② 「介護保険の申請」を今すぐ出す
介護サービスを使うためには、「要介護認定」を受ける必要があります。この認定の申請は、できるだけ早く出してください。なぜなら、申請から認定結果が出るまでに約1〜2ヶ月かかるからです。
申請先は市区町村の介護保険担当窓口(または地域包括支援センターが代行してくれます)。
申請に必要なもの(一般的な例)
- 介護保険被保険者証(親の保険証)
- 申請書(窓口にあります)
- マイナンバーカードまたは通知カード
認定が出ていない間でも、緊急の場合は暫定的にサービスを利用できる場合があります。地域包括に相談してみてください。
やること③ 主治医(かかりつけ医)に連絡する
要介護認定では、「主治医意見書」が必要です。かかりつけ医が内容を書いてくれます。認定申請後に市区町村から連絡が行くケースもありますが、事前に「親の介護が必要になりました」と主治医に伝えておくとスムーズです。
また、退院直後の場合は、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談するのが最も早い方法です。退院後の生活に必要な手続きをまとめて案内してくれます。
やること④ 「ケアマネジャー」を決める
要介護認定が出たら、ケアマネジャー(介護支援専門員)を選びます。ケアマネは介護のプロとして、本人に合ったサービスを組み合わせたケアプランを作成し、サービス事業所との調整を担います。家族の負担を大幅に減らしてくれる存在です。
選び方は地域包括支援センターに紹介してもらうのが一般的です。「どんなケアマネがいますか?」と相談してみてください。
ケアマネへの費用は介護保険から全額まかなわれるため、家族の自己負担はゼロです。
やること⑤ 親の状態を正確に把握する
「なんとなく大変そう」では、必要なサービスを判断できません。以下の項目を整理してみてください。
| 確認項目 | 具体的に確認すること |
|---|---|
| 身体の状態 | 歩ける?トイレは自分でできる?食事は? |
| 認知機能 | 物忘れはある?日時・場所の認識は? |
| 住環境 | 段差はある?浴室・トイレの状態は? |
| 本人の意思 | 家で暮らしたい?施設は?どこまで受け入れてくれそうか |
| 家族の状況 | 誰が主に介護できる?仕事・距離は? |
やること⑥ 兄弟・家族で役割分担を決める
介護をひとりの子どもが担うと、燃え尽きます。これは断言できます。ケアマネとして何十家族も見てきて、最後まで安定して介護を続けられた家族は、最初に役割分担をきちんと決めていた家族でした。
- 誰が主介護者になるか
- 金銭的な負担はどう分担するか
- 週に何回、顔を出せるか
- 緊急時の連絡体制
感情的になりやすい話題ですが、早めに話し合いをすることをおすすめします。
やること⑦ 介護サービスの種類を知る
介護保険で使えるサービスは大きく分けると次の通りです。ケアマネが詳しく説明してくれますが、先に知っておくと理解しやすいです。
- 訪問介護(ホームヘルパー):自宅に来てもらって身体介助・生活援助を受ける
- デイサービス(通所介護):施設に通って入浴・食事・リハビリなどを受ける
- ショートステイ:短期間だけ施設に泊まる(家族のレスパイトにもなる)
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:24時間対応で自宅に来てもらえる
- 施設入所(特養・老健等):在宅が難しくなった場合の選択肢
やること⑧ 住環境を整える(福祉用具・住宅改修)
在宅介護を続けるなら、住まいの安全対策は早めに手を打つことが大切です。転倒・骨折は介護状態を一気に悪化させます。
介護保険では以下が使えます。
- 福祉用具貸与:手すり・歩行器・車いす・介護ベッドなど(月額レンタル)
- 住宅改修費の補助:手すりの設置・段差解消等に最大20万円まで補助(1割または2割負担)
ケアマネや福祉用具専門相談員(わたしは福祉住環境コーディネーターの資格も持っています)に相談すれば、何が必要か一緒に見てもらえます。
やること⑨ 仕事との両立を早めに職場に相談する
介護が始まると、仕事を急に休まなければならない場面が増えます。「介護休業制度」「介護休暇」など、法律で定められた制度がありますので、早めに会社の人事に相談しておくと安心です。
介護を理由に仕事を辞めてしまうと、経済的に苦しくなり、介護そのものが持続できなくなるリスクがあります。できる限り、仕事と介護の両立を目指してください。
やること⑩ 自分自身の限界を知っておく
最後はこれです。
介護はマラソンです。最初に全力を出し切ると、途中で倒れます。「もう限界」と思う前に、レスパイト(休息)の手段を持っておいてください。
- ショートステイ(短期入所)を定期的に使う
- デイサービスで「週数回は外に出てもらう」時間を作る
- ケアマネに「きつい」と正直に伝える
介護している側が倒れてしまっては、元も子もありません。自分を大切にすることが、長く介護を続けるための条件です。
まとめ:突然の介護、一人で背負わないで
親の介護が突然始まったとき、最初にやるべきことを10個まとめました。
- 地域包括支援センターに連絡する
- 介護保険の申請を今すぐ出す
- 主治医・医療ソーシャルワーカーに連絡する
- ケアマネジャーを決める
- 親の状態を正確に把握する
- 家族で役割分担を決める
- 介護サービスの種類を知る
- 住環境を整える
- 仕事との両立を職場に相談する
- 自分自身の限界を知っておく
全部を一度に完璧にやろうとしなくて大丈夫です。まず「地域包括支援センターに電話する」、それだけで第一歩は踏み出せます。
何か具体的なことで迷っているご家族がいれば、このブログのお問い合わせフォームからご相談ください。

